この記事では、「流動負債」の「営業債務以外の項目」について解説します。
「流動負債」ってなに?という方は、こちらの記事を見てくださいね。
営業債務以外の項目としては主に①短期借入金、②1年内償還予定の社債、③1年内返済予定の長期借入金、④未払法人税等、⑤賞与引当金があります。
以下それぞれについて解説していきますね。
①短期借入金
短期借入金とは、返済期限が決算日の翌日から1年を超えない範囲に設定された借入金のことです。
短期借入金は仕入代金の支払いなど、主として短期間の資金繰りに使われます。
また、返済のための資金調達が確定しているものの支払の時期に間に合わない場合、一時的に借り入れる資金を「つなぎ資金」といい、このための借入を「つなぎ融資」と呼びます。
借入金の形態としては主に以下の4つがあります。
1、金銭消費貸借契約証書を締結して行う「証書借入」
2、約束手形を振出して行う「手形借入」
3、当座貸越限度額を定め、その限度内までは自由に資金を貸借できる「当座貸越」
4、外貨で借入を行う「外貨建借入金」
②1年内償還予定の社債
社債とは、投資家から資金を募る際に発行する有価証券のことです。
社債には返済期日や利息率が記されており、企業が投資家に対して発行する「借用証明」の役割を果たします。
1年内償還予定の社債とは、1年以内に返済を行う必要がある社債のことを言います。
社債には、主に次のようなものがあります。
・普通社債(SB)
一般的に「社債」というとこちらの普通社債を指し、ストレートボンド(SB)とも呼ばれます。
あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕 組みであり、ほとんどの場合は固定金利となります。信用格付(※)に応じて利率が高くなる傾向があります。
(※)信用格付とは、民間の格付機関(信用格付会社)が国債や社債などの債券投資をする投資家向けに、将来における元本の支払いや利息の支払いが確実に履行される かどうかを評価し、その信用度合(債務の返済可能性など)を記号化して表現することで、その会社や国(発行体)のリスク度合いを分かり易く表示したものです。
格付は格付会社によって評価方法や表記が異なりますが、通常はアルファベットや数字を組み合わせて記載されます。
例えばスタンダード&プアーズの場合は以下の通りです。
(どちらの会社も似たような記号を使っています)
AAA(トリプルA) :債務履行の確実性が最も高い。
AA(ダブルA) :債務履行の確実性は極めて高い。
A(シングルA) :債務履行の確実性は高い。
BBB(トリプルB): 債務履行の確実性は高いが、将来確実とはいえない。
・転換社債(CB)
転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、チェンジャブルボンド(CB)とも呼ばれます。
基本的な仕組みは普通社債と変わりませんが、一定条件において株式と交換 できるという特徴があります。
社債としても機能するため利息を受け取ることもできますが、特別な条件が付帯することから、普通社債に比べて利息は低く設定されるの が一般的です。
・ワラント債
ワラント債(新株予約権付き社債)は、通常の社債に加えて新株予約権(社債を発行した企業の株式を一定金額で購入できる権利)が付帯しているものを指します。
社債を株式に交換できる転換社債とは異なり、ワラント債の権利を行使する場合は別途の支払いによって株式を購入する必要があります。
なお、株式を購入する権利だけを第 三者へ売却することも可能です。
③1年内返済予定の長期借入金
長期借入金のうち、1年以内に返済しなければならない部分のことを言います。
④未払法人税等
未払法人税等とは、納付すべき法人税、住民税および事業税の未払額のことを言います。
法人税、住民税及び事業税は一会計期間に法人が獲得した利益に対して課税され、決算日の翌日から2ヶ月以内に確定申告をし、納付します。
⑤賞与引当金
賞与引当金とは、企業が従業員に対して翌期に支給する賞与(ボーナス)に備えて見積り計上するための勘定科目のことです。
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